フランスは骨壺までおしゃれ!土葬から火葬に変化しつつある仏の葬儀事情

言葉や文化は違えども、地域に関係なく世界共通して必ず行われるのが冠婚葬祭です。その中でも葬儀は予期せず突然やってくることがほとんどなので、慌てて準備することが多く住み慣れた日本でも勝手がわからず不安になってしまうものです。ここでは、美しい街並みと貴重な数多くの絵画を始めとして、世界のファッションやトレンドの発信地として世界中から旅行者が訪れる魅力溢れる国、フランスの葬儀事情についてご紹介します。

キリスト教の教えを背景としたフランスの葬儀

フランスはカトリック教徒の国なので、葬儀事情を語る上で切っても切り離せないものがキリスト教の存在です。フランスの外務省によれば、フランスにおける各宗教の割合はカトリックが全人口およそ6700万人の65パーセントを占めており、その多くがカトリック式の葬儀を行っています。亡くなってから3から5日後に教会で葬儀を行うのが一般的で、各市町村には遺体安置所が設置されているため葬儀までの期間は遺体はそこで安置されます。カトリック式では遺体の足元に置かれた聖水の入った器で湿らせた棒で十字を切って祈るのが基本で、葬儀は神父による聖書の朗読や聖歌隊と参列者による聖歌が行われ時間は1時間程度となっています。また、日本では棺に花を入れる「献花」を行うことが多いですが、フランスでは花ではなく十字を切りながら聖水をかけます。参列者全員が聖水をかけるのでびしょ濡れになってしまう棺に驚いてしまいますが、これがカトリック式のしきたりとなっています。

土葬から徐々に移行する火葬への葬儀事情

キリスト教の教えでは、人は亡くなっても復活するとされています。そのため、復活の受け皿となる肉体を燃やしてしまう火葬はタブーとされており、1963年にバチカンが認めるまでカトリックでは火葬は禁じられていたため土葬が一般的となっています。特に厳格なカトリックが多いフランスではその傾向が顕著で、棺を土中に収めた後にバラの花を捧げて故人の冥福を祈って最後のお別れとなります。しかし、その傾向も最近になって大きく変更の兆しを見せており、フランスの世論調査研究所が行った調査によると、1979年の時点ではわずか1パーセント足らずだった火葬の割合が現在では32パーセントと増加傾向にあります。その背景には経済的な理由もありますが、土地不足が大きな要因となっています。特に都市部では深刻な問題になっており、広い敷地が必要となる土葬から火葬へと移行しつつあるのが現状で、2030年には葬儀のおよそ半数が火葬になると予想されています。

日本とは異なるフランスの骨壺と葬儀に対する考え方

徐々に増えている火葬ですが、フランスでは遺骨をどのように管理しているかご存知でしょうか。日本ではお骨を骨壺に入れてお墓に収めるのが一般的ですが、フランスでは火葬後はお骨を自宅に持ち帰る方が多くなっています。また、日本の骨壺は白い陶器が基本ですが、フランスでは主に陶器や大理石で作られており、主にリビングに飾られる事が多いので素敵なデザインが多く一見して骨壺には見えないことが特徴です。日本では多くの家庭にある仏壇や御位牌のようなものも一切なく、故人の写真などを飾るなど亡くなった方を祀る習慣もないので骨壺に対して何かをお供えするようなこともありません。フランスでは親しい人が亡くなっても必要以上に悲しむことはしません。「セ・ラ・ヴィ(それが人生さ)」という考えが根底にあり、遺族も棺を撫でたりキスしたりしながら故人に対して「良い人生を過ごしたね。お疲れ様でした」と伝えてお別れするのが一般的となっています。

フランスで葬儀に参加する際のマナー

フランスで葬儀に参加する際のマナー

日本では葬儀に喪服を着るのがマナーとされていますが、フランスでは喪服を着る習慣はなくカジュアルなスタイルでも問題ありません。かつては黒いスーツや地味な普段着を着る習慣があったようですが、現在では一部の有名人などの葬儀を除いては普段着でも参列することができます。女性の参列者の場合は、よっぽど派手でなければ普段通りのアクセサリーやお化粧が大丈夫で、靴やバッグも派手でなければ普段通りで問題ありません。また、日本では葬儀に出席すると香典が必要ですが、フランスの葬儀に香典という概念はありませんので注意しましょう。どうしても個人的に感謝やお悔やみの気持ちを伝えたい場合は「献花」や墓碑の上に飾る「プレート」を贈るのが一般的ですが、不要なこともあるので遺族の方に一度確認してからがおすすめです。ただしカトリック式では、葬儀の終わりに教会に対して少額の「お布施」をする習わしがあるため、数ユーロほどの小銭を用意しておくことが必要です。

まとめ

フランスの葬儀は喪服も必要無く、香典などお金もかからずに参列できるため日本と異なり非常に気楽に参列することができます。ただし普段あまり馴染みのないカトリック式となるため作法に戸惑うこともありますが、雰囲気が重苦しくならずに終始明るいムードで葬儀が行われるのがフランスのお国柄であり大きな特徴です。フランスで葬儀に参列することはめったにありませんが、もしもの場合にはこれらの情報を是非参考にしてください。

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