日本人は無宗教であると言われていますが、日常生活では決してそのようには思えないと言う場面も少なくありません。葬式では仏教の流儀に則り僧侶に読経をしてもらうのが一般的となっているほか、その他の流儀も基本的には仏教式で行うケースが多いものです。しかしその一方で、キリスト教でイエスキリストの生誕祭と言われるクリスマスには様々なイベントが催され、キリスト教の国と同じような盛り上がりを見せることも少なくありません。
日本人が無宗教であると言われる理由
日本人は海外の様々な国のように、特定の宗教を信じなければならないと言う規定がありません。そのため、宗教の異なる様々なイベントや儀式などを日常的に行い、またこれが慣習化している傾向にあります。中には特定の宗教を信仰し、様々な儀式をこの教えに従って実践していると言う人も存在しますが、多くの人は仏教の儀式に従って正月を祝い、また葬式などを執り行うことが多いものです。
しかしその一方でキリスト教で定められているクリスマスに礼拝をしたり、そのイベントを楽しむといった部分も存在しています。この仕組みは日本人の精神的な面に大きく依存しており、阿満利麿の著書「日本人はなぜ無宗教なのか」の中でも詳しく述べられている通りです。日本人は古くから様々な宗教の内容を好意的に利用し、またこれらを習慣として行っている側面があるため、その宗教を信じている人から見ると非常にちぐはぐな面も存在しており、無宗教と言われる理由となっています。
様々な宗教を自己都合で解釈する日本人
日本人の特徴は精神的な依存ではなく、いわゆる自分の精神的な手中となるリーダーを崇拝する傾向が強いと考えられています。そのため、他の宗教ではあまり好まれない偶像崇拝が主流となっているのが一般的です。特に古くから日本の生い立ちにおいて欠かせない天皇の存在は非常に重要なものとなっており、現在でも様々な面で天皇を重要視する傾向は非常に強いものとなっています。
天皇は宗教とはかけ離れた存在であり、様々な面で日本人の精神的な支柱となってきました。この存在は現在でも変わらず、そのために様々な精神的な信仰を主とする宗教とは大きくかけ離れている面があると考えられます。この点も前出の「日本人はなぜ無宗教なのか」の中で述べられており、日本人が様々な物事を希望的に解釈し、その精神的な支柱に天皇やその他の身近なリーダーを置いていることがわかります。日本人は様々な宗教の良いところを自らの都合で解釈する側面を持っており、これが無宗教と言われる1つの要因でもあります。
海外の人が宗教を信じる理由
海外の多くの国では様々な宗教を信仰する人々が集まっており、またときには1つの中で2つの宗教が存在しこれが様々な部分を大きく分けているといった例も少なくありません。その理由は日本のような島国とは異なり海外の多くは国境が隣接していることや、様々な紛争の結果民族が新たな場所に移動するなど、歴史上の経緯が大きく影響しています。
日本とは異なり多くの国は宗教をもとに設立した経緯があり、これが歴史を経るにつれて様々な地域に分かれたことにより、1つの国の中で複数が存在するといった結果となっているのです。多くの海外の国の設立の裏にはこれを信じることで団結してきた経緯があり、これが様々な地域に移動することによって新たな歴史を生み出してきました。日本の場合にはそのような民族の移動がほとんど存在しておらず、古来から1つの国家としてまとまってきたため、結果的にその影響を得ていないのだと言う特異な性質が存在しているのが実態です。
日本の宗教信仰の実態
日本の信仰はいわゆる無宗教だと言われていますが、実際には様々な宗教をそれぞれの状況に応じて信仰しているといった実態が感じられます。最近ではいろいろな新興宗教も登場しており、これらもその1つに含めるとすれば必ずしも無宗教と言える実態ではありません。しかし様々な海外の国のように生まれた時からその宗教の中に属し、これを当然のことと受け入れてきた人々とは異なり、自ら進行を選ぶことができるのが日本人の特徴となっています。
そのため、自分の意志で様々なものを選ぶことができると言う点が大きく異なり、その理由からあえて選ばずにその時々で様々な要素を取り入れているのが日本人の実態です。また、一つの文化として取り入れられ、これがしきたりとして継続されてきたことも、諸外国から見るとその色が薄いといったものに感じられる結果となっているのです。すなわち、日本の中には様々な宗教が存在し、またこれらを自分の意志で選ぶことができる点が他国とは異なるポイントとなっています。
まとめ
日本人は無宗教と言われる事は非常に多いものですが、実際にはここの例を見ると必ずしもそうとは言い切れない部分も少なくありません。様々な宗教の言われるいいとこ取りをしている部分があり、これは日本人の生い立ちとその他の海外の国のような民族の移動や侵略などの歴史が存在していないことが大きな理由となっています。自ら自分の信仰する宗教を選ぶことができると言う点が諸外国とは大きく異なり、そのために様々な宗教が存在していることが、日本人が無宗教と言われる大きな理由です。
